ワケあり男子

カゴを持って、3番の部屋に向かう。



中は電気がついていて、ドアも少し開いていた。



入ろうとして躊躇する。



ソファでスマホを操作している律くんの横で、マリモくんが不機嫌そうに話しかけている。


「律、聞いてんのかよ」



「聞いてるよ…」



「あの女追いかけるとかふざけてんのか?なんとか言えよ」



あの女って、まさか私のこと…?



胸がズキッと痛くなる。



「別に…深い意味なんてないって言ってるだろ」


「俺が追い返したらアッサリ帰ったじゃん。それなのに構いすぎだろ。好きになったのか?」



ドキッ。


やっぱり…私のこと、だよね。



それに、律くんが私を好きって、まさか…。



そんなこと、あるはずない。



頭では理解していても、胸の高鳴りが止まらない。