「残念、太一じゃない」



「そうなんだ…」



律くんが答えてくれたけど、その言葉に明らかにテンションが下がっている。



「河村さん…岡野です…」



『岡野さん?そっ、そうだったんだ。どうしたの、私になにか話?』



「今日学校休んでたから心配してたの。具合は大丈夫?」



『それでかけてくれたの?優しいっ。今朝はお腹が痛くて…うん、だけどもう元気だよ』



「それならよかった。あの、太一くんじゃなくてごめんね…」



『えー、別に?喋りたくないし。あんなのと』



あらら…そうなの?



さっきは話したそうに聞こえたのにな。



「明日、待ってるね。体調がよかったら学校に来てね」



『…うん。ありがと』



河村さんはそのまま電話を切ってしまった。



律くんにスマホを返すと、そのままテーブルの上に置いた。



「河村の連絡先教えようか?」



「ううんっ…また、自分で聞くから大丈夫」



「そか」



律くんは微笑むと、スマホをポケットにしまった。