「あんたは見てるだけなの?雷龍のお姫様」
ギロリと私を睨みつけてくるのは、金髪をまいた女性。
その女性が手に握りしめているのは、ネクタイだ。
「いつもいつも、周りから守られてばかりだもんね?お姫様は怖くて何もできないか」
馬鹿にするように言われ、確かにその通りだと悔しいけど納得してしまう。
…でも、私だって守られてばかりは嫌なんだ。
怖いけど、いつもみんなを頼ったらダメだ。
私は世界No.1の暴走族の姫で、総長の彼女なんだ。
ここで逃げ出すわけにはいかない…!!
「…いつも守られてばかり姫だって、守りたいものはあるの……っ!
私たちの大事な人の物、早く返して!!!」
大きな声を出して目の前の女性を睨み返した。
すると、ぱっと胸ぐらを掴まれていた手が離されて。
「…あたしが今持ってるの、詩優様のだよ」
急に目の前の女性は大人しくなって、不敵な笑みを浮かべる。



