屋上のドアから出て、階段をおりて。
京子はこのまま走って行ってしまうのかと思ったら、階段の踊り場でぴたりと足を止めてくれた。
くるりと後ろを振り向いた京子は、
「…ど、どうしよう花莉」
不安そうにそう言って座り込んだ。
「き、京子っ!?」
慌てて京子のもとへと駆け寄って、私も隣に座り込んだら…
「私…竜二のことが好きなの…。
だから…他の子が竜二の物を持ってたら嫌だ…」
耳に届いた小さな声。
京子は今、なんて…?
好きって言った…?竜二さんを…
京子が…竜二さんを…好き…
好き!?
数秒後にはようやく京子が言ったことを理解した私。
京子に好きな人か気になる人がいる、ということはバレンタインの時に初めて気づいた。
だけど、その京子の好きな人が竜二さんだったなんて…!!
しかも、京子のあの言い方からして…
恋のジンクスを知っているんだろう。
「京子の恋は私が応援するっ!!」
ぎゅっと京子の手を強く握った。



