どうしよう、と思っていたら。
急に左隣に座っていた京子が立ち上がって
「そんなのだめよ。もしあのジンクスが本当だったら───…」
最後まで言い切る前に、はっと京子は我に返って言葉を切る。
「「ジンクス?」」
声をハモらせて首を傾げる詩優と竜二さん。
2人の反応からして……あのジンクスを知らないのだろう。
「……私、やっぱり授業戻るわ」
京子は紅茶の缶を片手に、くるりと後ろを向いて。
そそくさと去っていく。
「き、京子…!!」
私は慌てて立ち上がり、すぐに京子の後を追う。
なんでだかわからないけど……
いつもの落ち着いた京子じゃない、ということは私にもわかる。
なんだか焦ったような、いつもと違う京子だった。



