「夢の中で花莉が泣いてた。泣きながら『起きて』って。
俺を呼んでくれてありがとな、花莉」




私の声が…詩優に届いたのだろうか。
…嬉しい。




「…お礼を言うのは…私の方だよ…っ、助けてくれて…本当に、ありがとう」




精一杯のお礼を伝えた。
私が目を覚ますことができたのは詩優のおかげなんだから。溺れているところを助けられて、人工呼吸をしてもらって…。




詩優がいなければ私は死んでいた。
本当に感謝しかない。




「…花莉」








詩優が再び口を開いた時、カクっと急に力が抜けた彼。




「詩優っ」




私は抱きしめたまま彼を支えるけど、体の大きさが違うから支えきれず…。




「このアホ」




と言いながら竜二さんは詩優に肩を貸した。





傷!!
勢いよく抱きついちゃったけど、詩優は怪我人なんだ…!!傷が開いちゃうかもしれない!!





「ご、ごめんね!!詩優!!早く病院に…!!」





彼の顔色が悪くて、竜二さんと私で詩優を支えて、康さんの車へと運ぶ。

詩優はぎこちない歩き方。
足元を見ると、包帯が巻いてあった。





…無理をさせてしまったかもしれない。

詩優を車に乗せて、私も隣に乗って。
病院に向かう。





「…花莉」




車内では詩優が手を握ってきて、私は強く彼の手を握り返した。