詩優side




「……っ」




スモックを着た小さな女の子は、下駄箱の横でうずくまって小さくなって座る。
その子は小刻みに震えて、目を擦っていて…。




泣いているんだとわかった。




何が何だかわかんねぇけど、とりあえず『大丈夫か?』と声をかけようとしたら




「おまえ、泣いてんの?」




俺よりも先に女の子に声をかけたのはスモックを着たガキ。

その人物を見て目を疑った。





だって、そのガキは

────────小さい時の俺だったんだから。





泣いてる女の子は、ゆっくり顔を上げると……さらに驚き。

その子は以前写真で見たことがある

────────幼稚園生の頃の花莉。





顔は幼いけど、確かに面影はある。





…なんでここに?
もしかしてタイムスリップとかいうやつ?え?まじ?




つーか、俺って見えてんの?




ガキの頃の俺の前に立ってみると、いきなり横を向いた。
俺の存在は普通に見えてるのかと思ったが、それは違うみたいで。




「…っ!!!!」




ガキの俺は顔を真っ赤にしていた。