ゆっくりと目を開けるとぼやける視界。
目を擦ろうとしたら体は動かなくて……。




「花…!!!花…!!!!!」




すぐ近くから聞こえた男の人の声。
この人の声も知っている。




昔から知っている人の声だから。




─────従兄妹の冬樹くん。




冬樹くんが、なんでここに……?





体を動かして目を擦ることができないから、私は瞬きを繰り返す。
すると、視界が定まってきて…。





視界に入ったのは床に倒れる冬樹くんの姿。
冬樹くんは口元や頭から血を流して怪我をしているのがわかった。




「!?」




私はすぐに起き上がろうとしたが……体が動かない。
手と足を動かそうとしたが、ガチャっと音がするだけで少しも動かない。





な、なに!?




私は自分をよく見て何が起こっているのかを確認。

足元を見れば鎖で縛られていて、冬樹くんも同じように手足を縛られている。手は後ろで縛られているから見えないけど、きっと同じようになっているはず。

そしてようやく気づいたことは、私も床に倒れているということ。





なんでこんなことに…!?




きょろきょろと首を動かして周りを見てみると、私と冬樹くんが今いる部屋は広くて……この広い部屋に大きなテレビと天井の電気しかなかった。





ここは……どこ!?




見たこともない部屋。
私と冬樹くんは手足を縛られた状態。

かなりやばい予感しかしない。