怒りが込み上げてくる。
拳を強く握れば、関根は笑いだして。




「めんどくさい質問とかいいからもう行こう?これからもっとおもしろいことを始める予定だから」




そう言って俺の手を引く。




“おもしろいこと”
っていうのは嫌な予感しかしない。




でも、花莉を人質に取られた今、俺は断ることもできず抵抗せずについて行った。




エレベーターを待っていたら、やってきたスーツを着た男2人組。
そのうちの1人は花莉を抱きかかえている。





…隙を見て花莉を奪い返すことは難しい。
……どうするか…。





「夜瀬くん、私たちこういうの持ってるの。

妃芽乃さんを奪い返せたとしても死んじゃうから、何もしないで大人しくしてたほうが身のためだよ」






関根は自分のスカートの裾を捲って、脚に巻き付けてあるものを俺に見せた。

見せられたものは、黒くて艶のある────拳銃。





“私たち”
ってことは、これを持っているのは関根だけじゃねぇってことか。