「倫也、明日葉!先頭頼む!」
今度は目の前を走る詩優の大きな声が耳に届いて。
「りょーかい」
「はいはーい!!!」
2人の返事があるとすぐに立ち止った詩優。
彼はすぐに私の目の前で背中を向けてしゃがむと「乗って」と私と目を合わせる。
の、乗って、って!?
おんぶ…してくれるってこと!?
「わ、私は全然大──────────」
「早くしねぇと強制的に抱っこするから」
大丈夫だよ、と断ろうとしたらその言葉は詩優に遮られて。
「早く」と急かされる。
私がこうしている間にも、みんなは追い抜いて先を走って行く。
足は限界だし、これ以上早く走れそうにない。
詩優の背中に乗るのも迷惑だけど……ここで立ち止まって敵に囲まれることのほうがだめだ。
「ごめんね…!重いからすぐにおろしていいからね…!」
私はそう言ってありがたく詩優の背中に乗ってぎゅっと抱きしめるように掴まる。
すると、すぐに彼は足を支えてくれて立ち上がって走り出した。
それも、すごいスピードで。



