必死に足を動かすけど、体力が尽きてだんだん遅くなってきてしまう。
体力がなさすぎる自分を恨むよ…。
今まで何度も同じことを思ったけど、それでも体力をつけなかったのは私だけど……。
こういう緊急事態の時くらい早く走れたりしてもいいんじゃないのか。
火事場の馬鹿力とやらはいったい…
「ちょっ…!?」
後ろから京子の声がして、何かと思って振り返ったら…
見えたのは、竜二さんが京子を抱きかかえて走っているところ。
…お姫様抱っこだ!!
私はすぐに前を向いて足を動かすことに集中。
こんな時だけど……、少しにやけてしまいそうだった。
京子は竜二さんが好きだから…2人の距離が縮まったらいいな、っていつも思っていたからだ。
「自分で走れるわよ!?」
京子はそう言うけど、竜二さんはおろす気がないみたいで「こっちのほうが早い」と返す。



