「遅せぇよ倫也…って花莉?」
「妃芽?」
地面に座り込んでここちらを振り向く詩優と竜二さんの2人。
私は最後の力を振り絞って、2人の元へと駆け寄った。
「詩優…!竜二さん…!大丈夫…!?」
詩優も竜二さんも、一目見ただけですぐにわかったが、制服がいつもと違う。
ネクタイはしていないし、ワイシャツのボタンは全開に開いている。そのせいでちらり見える骨ばった鎖骨、それから中に着ているシャツ。
まだ寒い2月なのにセーターも着ていなくて、そのうえブレザーも着ていないから余計寒そうだ。
竜二さんは普段なら絶対に制服を着崩すことはないから、余計心配になる。
何かがあったんだ、と。
「怪我は!?」
ぺちぺちと2人を触って、よく見て、怪我がないか確認。
そこで気づいたこと…
詩優と竜二さん、2人のワイシャツのボタンが全部ない…ということ。
ボタンがないから、ワイシャツの前をとめられなかったんだ…。
ボタンはないけど、幸い2人とも怪我はしていなさそう。
本当に何があったんだろう…。
まさか……
「喧嘩したの!?」
それなら2人が喧嘩で負けることはない。
だけどなんでボタンが全部なくなってるの…!?喧嘩するにしてもこんなの不自然すぎじゃ…