震える足を動かして、貼ってあるものを見に行こうとしたら詩優に手を掴まれて。
直後、




「…口の利き方には気をつけろ」




竜二さんの低い声がこの場に響いた。




一気にみんなが口を閉じて、声のしたほうへと目を向ける。
この場の空気が変わるのがわかった。




竜二さんは教室棟のほうから歩いてきて、1人の男の前で立ち止まり、胸ぐらを掴む。
鋭い目付きで男を睨みつけると、その男は足をガタガタと震わせて…。




「すみませんでしたぁ!!!」




と謝る。




…さっきの、声の人……。




「うちの大事な姫を傷つければ容赦はしない」




竜二さんが掴んだ胸ぐらを離すと、詩優は私から離れて行って人の集まるほうへ。




詩優が来ると集まっていた人がすぐ道を開けて。
彼は壁に貼ってあった紙をはがすとビリッと破いた。




「…誰だかしらねぇけど、舐めた真似してるとただじゃおかねぇから」





詩優の低い声が一言、耳に届く。