俺の悪口なんて言わせておけばいいのに。
それを聞かなかったことにしないで怒ってくれた。
「さんきゅ、明日葉」
俺は背中に乗る明日葉にそう言った。
誰かが俺なんかのために怒ってくれることはすげぇ嬉しい。
明日葉が怒ってくれるから、俺の気持ちは軽くなる。
明日葉は俺のライバルでもあり、最高の仲間。
俺ももっと強くなるために、明日葉と“最強幹部”になれるように、頑張らねぇと。
そのためにはいい加減、昔の記憶を引きずるのはやめよう。
もう、大丈夫な気がする。
明日葉がそばにいてくれれば、俺は前を向いていられる。
「あっ!!!!!」
突然聞こえてきた明日葉の大きな声。
何事かと思ったら…
「倫也の肩にクリームついたー!!!!!」
まさかの。
「なんか俺いじめられてる?」
「わざとじゃないからね!?ただ普通に食べてたらボトってクリームが落ちただけで!!!もやし倫也には悪いと思ってるよ!!!!」
「ティッシュでよーく拭いといて」
「ティッシュ持ってない!!!!!」
「女子力じゃないの?そういうの。あ、明日葉はゴリラだから女子じゃないか~」
「なんだとーー!?」
それから俺は学校に着くまで明日葉に背中を叩かれまくった。
制服にクリームをつけられたことは今回は許そう。明日葉には今日助けられたから。
泣いてる明日葉はちょっと可愛いかも、とか足細いとかいろいろ思ったけど
いつも通りの明日葉に戻って何より。
いつもの元気な明日葉が1番だ。
倫也side.end