明日葉の左手を見ると、血が滴り落ちていて。
ギラリと光ったものが確かに刺さっていた。
痛々しい傷。
つーか、なんで…
「応急処置くらいしてもらえよ!?」
止血も消毒も何もしていない状態だから驚きだ。
あとなんで怪我してんのに明日葉は歩いてんのか。普通、教師が車出したり明日葉の親呼んだりするよな!?
「痛すぎて我慢できなかったから、早く病院に行こうと思って飛び出して来たのーーーー!!!!」
そう言った明日葉は確かに手ぶら。
鞄を持っていたとしても中身は食いもんだけだと思うけど…。
財布も持たず、どうやって病院に行くのか。
しかも、車の方が絶対早いし。
ほんと、アホ。
ちょうどすぐ近く見えるコンビニ。
ポケットの中に手を突っ込んでみると、硬貨が1枚。
取り出して確認してみると、それは500円玉。100円とか10円じゃなくてよかった。病院に行く金はないから学校に戻ることになるけど…
明日葉の傷をほっとくことはできない。
「とりあえずコンビニで包帯買ってくるから待ってて」
泣きわめく明日葉にそう言って、俺はコンビニまで走った。



