世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ






これで抜け殻じゃなくなる、かと思ったんだけど…。




「……」




明日葉は痛そうに背中をおさえて、涙目で俺を見つめてきた。




「!?」




びっくりして、足が止まる。
ココ最近で1番びっくりしたことだと思う。




明日葉のこんな表情を俺は見たことがなかったから。





喧嘩では負け知らず。
男に余裕で勝つくらい強い野生のゴリラなのに……





普通の女の子に見えた。





そんなに、泣くほどさっきのこと気にしてんの?
俺が、桜に悪口言われてたこと……





「明────────────」




口を開いたら、明日葉の涙はぽたりとこぼれ落ちて……












「痛いよーーーーーーーーーーー!!!!!ガラス刺さってるよーーーーー!!!!」





泣きわめき出した。




うるさすぎる声。
俺の心臓もびっくり。





…つーか、“痛い”って。“ガラス刺さってる”って。

痛くて泣いてる、ってこと……だよな?
さっきのことを気にしてるわけじゃなくて。