「そうそう。ビターチョコで作ったの。
竜二、甘いもの苦手でしょ?」
「あぁ。昔から甘いのは苦手でな……
チョコの中でもビターチョコが一番だと思ってる」
「そ、そうなんだ…!それならちょうどよかったわ!!」
落ち着け私。
竜二はビターチョコが一番って言っただけよ。別に私のビターチョコのマフィンが一番って言ったわけじゃないの。
勘違いするな私……
自分の高鳴った鼓動を必死に落ち着かせようとするけれど……
全然だめだ。
「…俺はこっちの方がいいんだが……
妃芽や明日葉は大丈夫だったのか?2人はビターよりも甘いもののほうが好きだろう?」
再びドキッ!と大きな音を立てる心臓。
このままでは私の心臓が確実に壊される。竜二によって……
っていうか変なところで鋭いのほんとやめてよ…!!!
「は、花莉と明日葉のは私の愛で甘くなってるから大丈夫よ…!!」
慌てて返した言葉。
自分でも馬鹿だと思う。でも、竜二は
「そうか」
と納得したような顔をしていたから……
大丈夫……なの!?
本当のことはきっと誰にも言えないから、納得してくれたのならよかったわ。
花莉と明日葉に渡す分は甘いミルクチョコのマフィン。甘いものが苦手な竜二はビターチョコのマフィン。
その2種類を作っていたこと、マフィンを本命のためにも作っていたことは誰にも秘密。
京子side.end