「…奏太くんたちと、康さんのぶんもあるの」
そう答えたら、彼は私の頭をわしゃわしゃと撫でた。
そのせいで乱れてしまう髪の毛。
「!?」
「あいつらにもこれ届けに行こ。そのあとここの部屋中にこれでもか、ってくらいつけよ」
今度は乱れた髪をなおすように大きな手が頭を撫でてくれる。
…大きくて、温かい手。
やっぱり詩優の手は温かくて心地いい。
髪を整えてくれたら彼は、さすまたに貼ってあったテープをとって。1本は部屋に置いておいて、あとの2本を手に持つ。彼の反対の手には買ってきたものがたくさん入ったビニール袋。
届けに行く準備、だろう。
「私も持つ…!!」
彼にそう言うと、「じゃあこれ頼む」と渡されたさすまた1本。
そこまで重くないから2本持てるのに…。
これは彼の優しさだろう。
でも、さすがに詩優にほとんど持ってもらうわけにはいかなくて、私はもう1本のさすまたを彼の手から奪った。
それから2人で部屋を出て、みんなのところへと向かう。