「話は中で聞く」
彼はそう言ってくれて、靴を脱いで部屋の中へ。
お、怒ってるわけではなさそう…。
でも、詩優は顔に出さないだけで本当は迷惑だと思ってるんじゃ…。
ここまで来て心配になってくる。
『まだ一緒にいられない』って言われたとしても、この防犯グッズだけはみんなに渡しておきたい。
…本当は詩優と一緒にいたいけど。
詩優はリビングにさすまたを置いて、ビニール袋の中を見る。
そのビニール袋の中にはさっき買ったドアロックやヘルメット、防犯ブザー。
「…こんなに買って」
詩優が小さく呟いたのを私は聞き逃さなかった。
「わ、私がカードキーをなくしたせいで危険な目にあわせて本当にごめんなさい。
私はやっぱり詩優が、みんなが心配で…いてもたってもいられなくて……ホームセンターに連れてってもらって、防犯グッズを買ってきたの」
これを買ってきた理由もきちんと説明。
詩優が次に言う言葉にドキドキしていたら…
「これ、ここの部屋のぶんだけじゃねぇだろ」
彼は袋の中を見て、次に私と目を合わせる。



