エレベーターが最上階に到着して、部屋の前で足を止める。
そこで思ったこと。
今、詩優は部屋にいるのかどうか。もちろんいないという可能性もある。
…いなかったら、先に奏太くんたちのところに行こう。奏太くんたちもいなかったら、康さんのところに行こう。
康さんもいなかったら……
最上階の部屋で待機?
と、とりあえず部屋に入ろう。
カードキーで部屋の鍵を開けて、部屋の中へと足を進めようとしたら……
すぐに彼の姿が目に入った。
詩優は私を見て驚いている様子。
それもそうだろう。
詩優には何の連絡もしていないし、私の右手にはさすまた3本、左手には大きなビニール袋を持っているんだから。
彼は玄関へと来て、
「…小動物の警備員さん?」
と聞いてきた。
…小動物の警備員!?
な、なんですかそれは!!
「ひ、妃芽乃 花莉です…っ!!」
大きく返事。
小動物でも警備員でもないからそう言ったんだけど、詩優は「ふっ」と笑いだして。
私が持っていたさすまた3本とビニール袋を持ってくれた。



