竜二に渡したものはラッピングの袋に青いリボンをつけたもの。
もちろんたまたま余ったわけではない。それは竜二用に作ったもの……。
竜二は何も言わないから、不安は募るばかり。
こんな言い方して渡す女、きっと私しかいない。
ほかの女の子たちは竜二にちゃんと正直に気持ちを伝えて渡したんだろうな……
「い、いらないなら無理にとは言わないけど…」
竜二からチョコマフィンを回収しようとしたら、手を掴まれて制された。
「ありがとうな、京子」
私を真っ直ぐ見て、優しく微笑む目の前の彼。
胸の奥が熱くなっていく。
…その顔は反則よ。
ほんと、私ばっかりドキドキさせて……ずるい男。
「…ど、どういたしまして……」
少し声が震えてしまったが、なんとか声を出すことができた。
竜二は私の掴んだ手を離し、なんだか嬉しそうな表情で手元のマフィンを見て……
青いリボンを解いた。



