世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ






『私も行く』
こんなことを言ったら詩優を困らせてしまうだけ。それはわかってる。




もう詩優と喧嘩はしたくないから、わがままも言わないし、困らせない、そう決めた。
そう決めたのに……

詩優が心配で、つい裾を掴んでしまった。




「花莉はしばらく京子の家に泊めてもらって」




何も言えないでいたら、上から降ってきた声。





詩優が私の安全のためを思って言ってくれたこと。
それはすぐにわかったけど……





急に言われるのは寂しい。




掴んでいた袖を離して、下を向くと





「いい子にしてろよ?」





ぽんぽんと大きな手が頭を撫でてくれて。
彼はすぐに行ってしまった。