詩優はくるりと私と竜二さんのほうを向いて。
「竜二、花莉を学校に連れてってもらってもいい?今から行けば2時間目には間に合うから」
そう言って詩優は自分のスマホをポケットから取り出した。
…この言い方は、詩優は学校に行かないと言うことだろう。
詩優は……どうするの…?
「…詩優はどうする」
竜二さんは眉間にシワを寄せてそう返す。
「俺は海斗を探す。一応、確認しておきてぇし」
「あいつが今どこにいるのかわかるのか?」
「葉月に電話して聞いてみる。知ってるかもしれねぇし」
「……」
頼んだ、と最後に一言残して背を向けて倉庫の出入口へと行ってまう彼。
海斗さんを探す、って……。
すごく危険なことなんじゃ……。
私は詩優の背中を走って追いかけて、裾を掴んで引き止めた。
すると、すぐに詩優は振り向いて。
「花莉は学校な。あっちには倫也と明日葉、京子の3人がいるから。今日は守ってもらって」
優しい声でそう言ってくれる。



