みんなでお弁当を食べて、教室へと帰る前に。
私の袖をぎゅっと掴んで引き止めたのは、空木さん。
空木さんは、俯いていてよく顔が見えない。
「ど、どうしたの…?」
声をかけてみると、
「…妃芽乃先輩、私がいるから元気がなかったんですよね……。や、やっぱり無理な話ですよね、たくさん迷惑をおかけしたのに仲間になるなんて…。
妃芽乃先輩が迷惑なら、私はやっぱり……」
「違うよっ!!!!」
悲しそうな声で言う空木さんの言葉を制した。
まさか、自分がぼーっとしていたことで空木さんにそう思わせていたなんて。
「わ、私、この間、つ、ついこの間の土曜日にいろいろあって!!ぼーっとしちゃっただけなの…!!」
私は慌てて誤解を解く。
「私は…と、友だちが少ないから、せっかくの出会いを大切にしたいし、空木さんとも仲良くしたいなって思ってるよ!!」
勢いで言ってしまった言葉。
“友だちが少ない”というのはわざわざ言わなくてよかったかもしれない。
…恥ずかしいから。



