…空木はちゃんと考えていた。
空木さんも雷龍に入れれば安全だから…私たちに平気で近づいていたんだ。
その方法なら、空木さんの安全は守られて、空木と空木さんも一緒にいられる。
けど…それに詩優が納得する確率は、空木が雷龍に入れる確率よりももっともっと低い。
空木は大きく息を吸って。
「…雷龍、やっぱり諦めることにするよ。
やっぱり俺には乃愛より大事なものなんてないし」
空木はそう言うとタッパーのフタを閉めて、ランチバッグに入れて片付けていく。
私の手からもプリンのカップとスプーンを取って、詩優の手からもキャラクターの楊枝を取った。
着々と片付けをして、最後に詩優と私に向けて一礼。
そして、
「さよーなら」
最後に一言。
それから私たちに背を向けて、歩いていってしまう。
最後に見えた空木の表情は笑顔。
だけど、私でもわかる。
それは作り笑顔だってことくらい…。



