世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ





空木はただ私を見つめて、口を閉じる。

…何か、考えていたなら言ってほしいのに。




「さっきね、空木さんが…玲央と距離を置くから居場所を、仲間をつくってあげてほしいって私たちに頭を下げたんだよ……。
空木さんが空木と距離を置けば危険に晒されることはないみたいだから……」




さっきのことを伝えたら空木は目を見開いて、驚いた表情。
空木さんがそう思っていることを知らなかったんだろう。




空木は姉である空木さんのことを思っていて。
空木さんは弟である空木のことを思っていて。




2人は姉弟思いだ。
だから、絶対離れるべきじゃない。




「…俺さ、ずるいやつだからずるいこと考えてたんだよねぇ。ことが収まるまで雷龍に乃愛を守ってもらうんじゃなくて、ずっと守ってもらおうって。

乃愛も雷龍に入れてもらおうと勝手に思ってたんだよ。そうすれば俺と乃愛が離れることもない、って」




空木は呟くように言った。
なんだか、さっきまでの元気がなくなって悲しそうな声。