世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ





このまま喧嘩をしたところで詩優が負けるとは思えない。本当に、空木が危ないかもしれない。




空木が胸ぐらを掴まれているその隣では、久我はただその様子をめんどくさそうな表情で見ているだけ。
止める気配はない。




わ、私が止めるしか…!!!!!




「詩優もう行こうっ」




私は詩優と空木の間に入って、胸ぐらを掴む詩優の手を掴んだ。
詩優を押して空木から引き剥がそうとするが、空木は




「ちっこい雷龍ちゃんのおっぱいのサイズは~」




なんて言ってさらに詩優を怒らせる。




…なんで、言おうとするの。
痴漢男だけど…少しだけ、ほんの少しだけ、いい人かもって思ったのに……




私は思いっきり足を上げて空木のとある場所を狙った。
すると、見事にそこに当たって……。




「っ!!!!!!!!」





空木は顔を歪めて、後ろによろめく。
私が狙ったのは…───────空木の脛。





脛は当たったら痛いところ。
できる限り思いっきり蹴ったから、空木にも効いただろう。