詩優は「…花莉はここにいて」と一言私に言うと空木の方へと足を進めていく。
すぐに私に背を向けてしまった彼の表情は見えなかったけど…、怒っているのだろうか。
だとしたら、空木が危ないかもしれない。
「…お前、死にてぇの?」
低い声で、空木にそう言った詩優。
…やっぱり、怒っている。
「シユーが雷龍に入れてくれないと口が滑る~」
空木はこんな状況でもやっぱり詩優に少しも恐怖を抱いていない。
いつも通り、やる気のなさそうな空木は何を考えているのか…。
本当に、ただ雷龍に入りたいだけで喧嘩を売ってるの…?
でもそこまでして空木が雷龍に入りたいなんて……。詩優が言った通り空木がまた暴走族に入れば空木さんが狙われることになる。
“俺にとって乃愛は1番だから”
とか言ってたのに。
何がしたいんだ……
「…お前の口が滑る前に、今ここで話せなくなるくらいにしてやってもいいけど」
詩優はそう言って、空木の胸ぐらを掴んだ。



