世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ





「詩優先輩は謝らないでください。私が悪いんです……。彼女がいる人を、詩優先輩を好きになって諦めきれなかったから…」




本当にすみませんでした、ともう一度謝って顔をあげない空木さん。




…私は、何を言ってあげられるだろうか。
何を言うべきなのだろうか。




なんの言葉も出てこない。




「あの不良の人たちに捕まった時、詩優先輩が妃芽乃先輩を必死な表情で助けに行く姿を目の前で見て……絶対私じゃ妃芽乃先輩に敵わないと思いました」




震える声でそう言った空木さんはやっと顔を上げて。
涙を流す空木さんと目が合った。




「詩優先輩のことは今でも大好きです。
でも私は、これ以上みなさんにご迷惑をかけるわけにはいかないので……。
今はまだ気持ちがありますが、ちゃんと諦めます。妃芽乃先輩も、ご迷惑をおかけしてすみませんでした」




ぺこりと目の前の空木さんはもう一度頭を下げるとすぐに私たちの横を通り過ぎていく。