お昼休みに空木さんを屋上へと呼び出すと、空木と久我も一緒についてきた。



強く手を繋ぐ私と詩優。
なんだか、すごく緊張する。




今度は何を言ったら納得して詩優を諦めてくれるだろう、
また諦めてくれなかったらどうしよう、

そんな不安で頭の中はいっぱい。




そんな不安を抱えながら屋上に到着すると、私たちに背を向ける空木さん。




…最初に、なんて言葉をかけたらいいのだろう。




なんて思っていたら、隣にいる詩優が先に口を開いた。




「空木」




空木さんを呼ぶ詩優。
だけど…




「なにー?」




と返事をしたのは空木さんではなく、後ろにいた空木。




いや、確かにどっちも“空木”だけどさ…。
今の“空木”は空木玲央ではなく、姉の空木さんのほうでは……。




「…今のは絶対お前じゃないだろ」




空木にそう言ったのは久我。




「俺だって空木なのに~。シユーが俺と乃愛の呼び方同じなのが悪い~」




文句を言う空木に詩優はため息をひとつ。
それから




「…玲央は少し黙ってろ」




空木に向けてそう言った。