これは、以前割れてしまったものと全く同じやつ。
わざわざ買いに行ってくれたってこと、だよね…?も、もしかして、ずっとこれを探しに行ってくれてたから私服なの?





それで、私に渡したくて持ってきてくれたってこと……?

嬉しすぎるよ。





「…ありがとう、詩優」




胸が熱くなって、ぽたりとこぼれ落ちた涙。
慌てて袖で拭おうとするとそれを詩優に制されて。




「さっきの続き」




彼は手を広げてそう言った。




さっきの続きとは、抱きしめる続き。手錠を外してもらったあとの続きだとすぐに理解した私はマグカップを割ってしまわないように置いて、詩優に強く抱きついた。




するとすぐに背中に手が回って、同じくらい…それより強く抱き締め返してくれる。











壊れてしまった大切なものはなおせないものばかりではない。
修復できるものもあるんだ。