世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ





「忘れてはねぇよ。このまま帰ろうとは少し思ってたけど」




詩優はそう言いながらも空木の腕輪の鍵穴にも同じようにヘアピンを入れて。
私は大人しく詩優の隣に座っていた。




どうやって外すんだろう、なんて近くでよく見ていたが途中で目に入ったのは詩優が持ってきた茶色の紙袋。





気のせいか、その紙袋に見覚えがあるような…。
いつどこで見たのかは具体的に思い出せないけど…それを見たのはそこまで昔ではない気がする。





じっとそれを見ていたら、紙袋の下の方にお店の名前が書いてあった。

そこで私は思い出した。この袋を見た時のことを。





これは…、引っ越す前に詩優と2人で行った家具屋さんの紙袋。





…まさか、ね。




一瞬頭に浮かんだのは割れてしまった私の猫のマグカップ。それは、ここの家具屋さんで買ったもの。




だから、変に期待してしまう。
詩優だって買い物くらいするのに。