木、と聞いて私は口を閉じた。
思い当たることがあったから…。
私は詩優がここへ来る前、鍵を開けようと木の枝を鍵穴に入れていたんだっけ…。
木の枝が詰まってるのは私のせいでは!?
もっと怒らせてしまうかもしれないけど、さすがに隠すことはできなくて
「ご、ごめんなさい……それは私のせい、かもです…」
声は少し震えてしまったけど、ちゃんと謝った。
謝るのはこれだけじゃない。ちゃんと謝らなくちゃいけないのは……。
今度は大きく息を吸った。
「あと…嘘ついて、わがまま言って、酷いこと言ってごめんなさい……」
そう謝ると、彼は一旦顔を上げて。
口を開こうとするから私は慌てて「待って」と制す。
詩優にはもう先に謝らせてしまった。
私はまだ彼に隠していることがあるのに…。
「あ、あのね、私────────────」



