「そこ座って」
そう指示を出されて体育館裏の入口に靴を脱いだまま座る私と空木。
詩優も私と空木の前に腰を下ろして。手に持っていたと思われる紙袋を地面に置くと、手錠の鍵穴の中にヘアピンを入れた。
カチャカチャと動かす彼は真剣な表情。
「こういうのできんの~?」
詩優に声をかけた空木。
「ピッキングは昔教えてもらった。得意ってわけじゃねぇし、このピンではやったことねぇけど」
手を動かしながらそう答えた詩優。
…昔やってたなんて、初耳だ。
詩優はすごい。
「……」
って思ってる場合じゃなくて…!!!私は詩優に説明して、ちゃんと謝らなくちゃいけないんだ…。
詩優はなんで聞いてこないの…?
いや、私から言わなくちゃいけないのはわかってるけど……。
…ちゃんと言うんだ。
ちゃんと、ちゃんと……
口を開こうとしたら、
「木の破片詰まってる」
と呟いた彼。



