本当は足を思いっきり踏んずけてやりたかったけど、そんなことをやっている暇もない。
早く隠れないと…!!!
「あっちに隠れよう」
私は空木の腕から手を離して、開いたままの体育館裏の扉を指さした。
幸い5時間目も6時間目も体育館を使うクラスはなくて、誰もいないはずだ。
空木はだるそうに立ち上がって、体育館へと足を進める。
扉の前で靴を脱いで私は中に入ったのだが、まさかの空木は……
靴のまま中へと入ろうとする。
「靴脱いで…!!ここ体育館だよ…!!」
私が小声でそう言ったら、思い出したかのように「あ~」と言う空木。
どんなに急いでいても使うマナーは守らなければいけないのに。なんてことをしようとするんだ、この男は。
空木がのろのろと靴を脱ぐから、「早く!!」と急かす。
私の心は焦るばかり。
お願いだからこっちに来ないで
そう心の中で強く願った。



