そ、そんな…!!!
引きずられるように連れて行かれそうになっていたら、私の前に空木が来て。
久我の腕を掴んで止めた。
「久我。今日は見逃してやって」
そう言った空木に、久我は
「…やっぱり、そうだったか」
そう小さく呟いて。
私の手錠にチェーンで繋がっているもうひとつの腕輪を、ガチャンっと空木の手首につけた。
「これは、立派な裏切り行為だ。わかってるのか、空木」
空木を鋭い目で睨む久我。
一方で空木は慌てる素振りも見せず、表情を一切変えない。
「…その女をお前が玄武の倉庫に連れてこい。
そうすれば手錠の鍵は渡すし、今回お前が裏切ったことにも目を瞑ってやる」
久我は最後にそう言って。
背を向けて、この場を去っていく。
「ちょっと、待って…!!!!」
私は久我を追いかけようとした。
すると、ガチャンっ!とチェーンの音が聞こえて後ろへと引っ張られる。
私と空木に繋がれた手錠。
私が右手で、空木が左手。
…この、手錠のせいで前に進めない。



