世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ





「…なに?」



私は足を止めて空木を見る。




「乃愛がさ──────────────、」




空木が声を出した時、扉を開く音がすぐ後ろで聞こえた。
びっくりして大きく跳ね上がる心臓。










開いたのは体育館裏の扉。




だ、誰が来たんだ……




くるりと後ろを振り向くのと同時に、私の手首は誰かに強く捕まれて。
ガチャンっ、と音がした。




「へ?」




私の手首には何かがついたのか、重みがあって、違和感がある。
手首を見てみると、そこについていたのは銀色の腕輪─────────手錠だ。




これを、私は初めて見た。
警察のひとたちだけが持っているイメージ。




っていうか…!?
な、なんで私に!?誰!?











ぱっと顔を上げてその人を見ると、黒髪で、制服をきっちり着ている男の人がいた。以前、空木と一緒にいるのを見たことがある。






この人は─────────久我 渉。
玄武の副総長兼ハッカー。