「…なに?」
私は足を止めて空木を見る。
「乃愛がさ──────────────、」
空木が声を出した時、扉を開く音がすぐ後ろで聞こえた。
びっくりして大きく跳ね上がる心臓。
開いたのは体育館裏の扉。
だ、誰が来たんだ……
くるりと後ろを振り向くのと同時に、私の手首は誰かに強く捕まれて。
ガチャンっ、と音がした。
「へ?」
私の手首には何かがついたのか、重みがあって、違和感がある。
手首を見てみると、そこについていたのは銀色の腕輪─────────手錠だ。
これを、私は初めて見た。
警察のひとたちだけが持っているイメージ。
っていうか…!?
な、なんで私に!?誰!?
ぱっと顔を上げてその人を見ると、黒髪で、制服をきっちり着ている男の人がいた。以前、空木と一緒にいるのを見たことがある。
この人は─────────久我 渉。
玄武の副総長兼ハッカー。



