詩優が作ったお粥を食べるのは今回で2回目。
初めて食べたのは私がインフルエンザになって、それでも退院した時。



京子に教えてもらいながら詩優が一緒に作ったみたいだけど、すごく美味しかった。




まさかまた食べられるなんて。
すごく嬉しい。




…お茶碗持ってこよう。
私はコンロに火をつけたまま食器棚へと向かい、お茶碗とスプーンを取り出して、思わず手を止めた。





詩優の犬のマグカップが目に入ったから。
以前は柄違いのマグカップを並べてしまっておいたのに、今はひとつだけ。





今朝のことを思い出すだけで目に涙が溜まる。





泣いたってマグカップが元に戻るわけでもないのに…。





パジャマの袖で目元を拭って、キッチンへと向かうとちょうどお粥が温まっていた。
火を消して、お粥をお茶碗によそって。





それを持って椅子に座る。





「…いただきます」




ここにいない詩優にそう言って、お粥をスプーンですくう。