すごく静か。
物音ひとつしない。




忍び足でリビングへと向かうと、少し寒気がした。




そういえば、熱測ろうと思ってたんだった…。
忘れてたや…。





ちらりとリビングを覗くと、誰もいない。
そして目に入ったのはテーブルの上に置いてある紙。




その紙を手に取って見てみると、そこには詩優の文字が書かれていた。





“花莉へ

中学生組は学校、俺は用事があって外にいく。花莉はカゼひいてるかもだから今日は学校を休むこと。
おかゆ作ってあるから腹へったら食ってちゃんと寝てろよ。

詩優”









…お粥、作ってくれたの?

詩優、料理苦手なのに……。
あんなにわがまま言って、酷いこと言ったのに…私のために…。




キッチンの方へと足を進めるとコンロのところに鍋が置いてあった。
そのフタを開けると、鍋の中には卵粥。




…美味しそう。




ぐぅ~、と鳴るお腹。
私はコンロに火をつけて鍋を温めた。