世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ





…早く、謝んねぇと。




そう思いリビングにいる榊にタオルとスウェットと渡してから、ドライヤーと花莉のスマホを持って。
すぐに寝室へと戻ろうとしたら「夜瀬!」と引き止められた。




「これ、花に渡してほしい」




そう言って差し出されたのは傷用の消毒液と絆創膏。



「花、俺に傘渡してくれようとして…転んで膝擦りむいちゃって……」




花莉が転んだ原因。
…榊に傘を届けようとしたから、か。




その言葉をすぐに理解できたけど、無性にイライラする。




「一応駅で手当はしたんだけど、菌が入るといけないから…」




…手当したんだ。
榊が。花莉に。




俺は差し出された消毒液と絆創膏を受け取って、「早く風呂でも入れ」と冷たく言った。




「ありがとう…」




榊はそう言ってから脱衣所へ。









俺は、本当に最悪だ。
器が小さい人間。





榊にイラついて、花莉に怒って。
どうしようもねぇやつだ。







そう思いながら箱のティッシュも持って向かったのは寝室。