…早く、謝んねぇと。
そう思いリビングにいる榊にタオルとスウェットと渡してから、ドライヤーと花莉のスマホを持って。
すぐに寝室へと戻ろうとしたら「夜瀬!」と引き止められた。
「これ、花に渡してほしい」
そう言って差し出されたのは傷用の消毒液と絆創膏。
「花、俺に傘渡してくれようとして…転んで膝擦りむいちゃって……」
花莉が転んだ原因。
…榊に傘を届けようとしたから、か。
その言葉をすぐに理解できたけど、無性にイライラする。
「一応駅で手当はしたんだけど、菌が入るといけないから…」
…手当したんだ。
榊が。花莉に。
俺は差し出された消毒液と絆創膏を受け取って、「早く風呂でも入れ」と冷たく言った。
「ありがとう…」
榊はそう言ってから脱衣所へ。
俺は、本当に最悪だ。
器が小さい人間。
榊にイラついて、花莉に怒って。
どうしようもねぇやつだ。
そう思いながら箱のティッシュも持って向かったのは寝室。



