それからコーヒーをいれたマグカップを差し出すと「ありがとう…」と受け取る榊。




「コーヒー飲めねぇとかじゃねぇよな?」




渡したあとに思ったこと。
コーヒー自体飲めなかったらこれは嫌がらせに等しい。…つーか、なんで俺がこんなこと気にしなくちゃいけねぇんだか。




「もちろん飲めるよ。俺は一応大人だからね」




そう言った榊に「あっそ」と返して俺は離れたソファに座る。





「…今日、俺の部屋使えば。3つの部屋が並ぶうちの1番手前だから。
俺と花莉はいつも一緒に寝てるから絶対入ってくんなよ」




“いつも一緒に寝てるから”
を強く強調。少しくらい悔しがるかと思ったら、榊はコーヒーを一口飲んで。




「夜瀬の部屋を借りるのはさすがに悪いから…。俺はここら辺で寝させてもらってもいい?」





特に表情を変えるわけでもなくそう言った。