その日の夕方、俺は族の用事が入った。
花莉にそのことを伝えると、俺の袖を掴んでなんだか寂しそうな表情を浮かべた。




…一緒にいたい、って思ってくれてんのかも。

勝手にそんな期待をする俺。




彼女はそんな表情をしても寂しいなんて言わず、ただ「行ってらっしゃい」と言ってくれた。

寂しい、って言ってくれても行かないわけにはいけねぇんだけど…。そういう気持ちはちゃん、言ってほしいって思う。





「行ってくる」





花莉の頭を撫でて俺は倉庫を出た。





帰りにプリンでも買って帰ろうか。
いや、一刻も早く帰った方がいいか。プリンは明日にして…。




帰ったらたくさん抱きしめよう。





そう思いながら急いで用事を終わらせて、部屋へと帰ったのは0時過ぎ。













花莉は部屋にいなかった。