思わず目を逸らすと、握られた手に急に力が入る。
「…これ、本命チョコだと思っていい?」
詩優の声が耳に届く。
恥ずかしくて目を合わせられないまま私はただこくんと頷いた。
すると、差し出した紙袋を受け取ってくれてほっと一安心。
…よかった……。
「じゃあ、私は、これで…」
任務が完了した私はくるり後ろを振り返って部屋を出ようとしたら、握られた手を強く引かれた。
その強い力のせいで私の体は詩優へと引き寄せられる。
「…っ!!!」
あっという間に詩優の腕の中。
ぎゅっと強く抱きしめられている。
…え!?
な、なんですか!!この状況は…!!!
またまたドキドキと心臓が早鐘を打つ。
もう壊れてしまうんじゃないかってくらい…。
「ありがとな、花莉」
耳元で、すぐ近くで聞こえてくる詩優の声。
その声が、なんだか嬉しそうで…。私まで嬉しくなってくる。
「…うんっ!」
今年はちゃんと渡せて良かった。
喜んでくれて良かった。



