「俺さぁ、乃愛には族に入ってること言ってないんだ~。族の争いに巻き込みたくないし、言ったら言ったでめんどくさいし。

久我と“玄武”始めてからは乃愛と距離とってたんだけど~、まさかの、ね。敵のトップ好きになってるからまじでびっくり」




そこまで言って、息をつく空木。
…空木なりに思うことはあったみたいだ。




「俺の苦労が一気に水の泡。
乃愛に族のこと気づかれるかもしんないし、それにこのまま“シユー”に関わり続けたら……

乃愛が他の族に目をつけられるかもしんない」




空木はそう言ってから真剣な表情になって、じっと私を見つめる。

…言いたいことが、何となくわかったような気がする。私は大人しく話を聞いた。



「だから、そうなる前に乃愛に諦めさせないといけない。

でもそれは~俺1人の力じゃ絶対と言っていいくらい無理だから~、ちっこい雷龍ちゃんに協力してもらいたいなーっと思って会いに来たってわけ」




空木は私のスマホを返してくれて。
「お互いに利益はあるはずだよ~」、とつけたした。