世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ





元はと言えばこの男のせいだ。
この痴漢男が私に近づきさえしなければ私のスマホは画面も割れずに無事だったのに…。




「…空木のせいだっ!!!」




私はそう大きな声で言った。




「ちっこい雷龍ちゃんが止まらならないから」

「何させるかわからないもん!!止まれるわけないっ!!!」




そう言った私を見て、「もう止まってるねぇ」と返して再びケラケラと笑う空木玲央。

なんだか笑い方もムカつく。だけど笑いながら手を出して。




「そのばっちぃの貸して」




空木は自分のポケットから青い布……ハンカチを出して、そう言ってくる。




『ばっちぃの』
と言われるのはムカつくが、たぶん拭いてくれるということなんだろう。




気持ちはありがたいけど、一つ気になることが。




「そ、そのハンカチいつ洗濯したやつ…?」




こう聞いたのは空木がハンカチを持っていたのが意外すぎたから。
ハンカチを持ってそうな男性って、清潔感がある人でしょ…?この男からは清潔感なんて微塵も感じられない。