世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ





「止まってよ、ちっこい雷龍ちゃん」

「や、やだ…。来ないで…」




「おっぱい触ったことなら謝るからさぁ。ちょっと話そうよ」

「絶対やだ…」





「誘拐とかしないからさぁ」

「絶対嘘だ…」





雷龍と敵対する暴走族の総長の言うことなんて絶対に聞けない。

に、逃げなくちゃ…っ
でもこの距離ならすぐに追いつかれて捕まってしまう。れ、連絡だ。詩優に連絡を…





スマホをポケットの中から取り出そうとしたら、焦りからか手から滑り落ちて。

慌てて拾いあげようとしてももう遅く…





ガシャンっ、と音を立てて水たまりの中にスマホが落下。





「っ!!!」




慌ててスマホを拾い上げるが……
落とした衝撃でスマホの画面は割れて、泥水のせいで汚くなってしまった。




ぽたぽたと水が滴るスマホ。




「ばっちぃ」




そう言ってケラケラと笑い出す空木玲央。




私のスマホは防水だから電源はつく。
つくけど……





無性にムカついた。