「止まってよ、ちっこい雷龍ちゃん」
「や、やだ…。来ないで…」
「おっぱい触ったことなら謝るからさぁ。ちょっと話そうよ」
「絶対やだ…」
「誘拐とかしないからさぁ」
「絶対嘘だ…」
雷龍と敵対する暴走族の総長の言うことなんて絶対に聞けない。
に、逃げなくちゃ…っ
でもこの距離ならすぐに追いつかれて捕まってしまう。れ、連絡だ。詩優に連絡を…
スマホをポケットの中から取り出そうとしたら、焦りからか手から滑り落ちて。
慌てて拾いあげようとしてももう遅く…
ガシャンっ、と音を立てて水たまりの中にスマホが落下。
「っ!!!」
慌ててスマホを拾い上げるが……
落とした衝撃でスマホの画面は割れて、泥水のせいで汚くなってしまった。
ぽたぽたと水が滴るスマホ。
「ばっちぃ」
そう言ってケラケラと笑い出す空木玲央。
私のスマホは防水だから電源はつく。
つくけど……
無性にムカついた。



