今のは私が直接的に空木さんに手を出したわけじゃないけど……間接的に私のせいなんじゃないか、そう思ったから。
あの子たちは私と詩優の…ファンで、私がいつまでたっても空木さんと決着をつけられないからこうなってしまったわけで…。
「わ、私がちゃんと頑張らないと」
ぽつりと呟いた言葉。
一人言のはずだったのに、その言葉に
「そうそう。頑張れ~」
と男性の声が返ってきた。
「!?」
びっくりして心臓が飛び跳ねる。
まさか、誰かがいるなんて思いもしなくて。返答があるなんて予想もしていなかった。
急いで声のした方に目を向けるとそこにいたのは、まさかのあの痴漢男─────空木玲央。
ポケットに手を突っ込んだまま気だるそうに立っていて、私と目が合うとこちらに近づいてくる。
な、なんでここに!?
空木が1歩私に近づく度に私も後ろへとさがる。
こんな男に近づかれたら何をされるかわかったもんじゃない。



