ずるい人だ。
私にたくさんドキドキさせて……




「…しゃがんで」




彼の特攻服をきゅっと掴んで、詩優を見上げる。
詩優は背が高いから私が背伸びをしても届かない。だからキスするには屈んでもらわないと…。




「身長いくつ?」




上から降ってくる声。
その声には笑いが含まれている。




「151センチ……詩優は?」




詩優のほうが背が高い、というのはわかるけど…何センチなんだろう。




「176センチ」




口角を上げてそう答えた彼。
思わず耳を疑った。




だって、詩優が176ってことは…
ってことは!!!!




計算すると……
詩優と私の身長差は25センチ!?




まさか、そんなに身長差があったとは…。私にも1センチくらい分けてほしいくらいだ。




「ちび花莉」




ぽんぽんと頭を撫でられる。
それがからかわれているようで少しムッとしてしまう。




「しゃがんで…っ!!」




もう一度詩優の特攻服をきゅっと掴んでそう言うと彼は笑いながらも私と同じ背の高さまで屈んでくれて。