「は、早く…っ」
ティッシュを出そうとしたら、「俺に貸してください」と昴くんに取られて。
昴くんはティッシュを素早く取り出すとアキくんの鼻に突っ込んだ。
なんだか、慣れた手つき。
「お騒がせしました」
昴くんはそう言って、アキくんの後頭部に手を回すと頭を下げさせた。
な、なんというか昴くんは…
アキくんの保護者…?
「まだそれ治ってなかったの?アキは女の子見てすぐ興奮するから“あゆ”に好かれないんだよー」
あははは!と笑う倫也。
「えっ!!アキはあゆに好かれたいの!?」
倫也の言葉に明日葉は反応。
アキくんは、そっぽを向いて知らんぷり。
話に出てくる“あゆ”とはいったい誰だろうか。
「私も自己紹介いいかしら?」
そう言ったのは京子。
「は、は、はひっ!!」
アキくんはすぐに背筋を伸ばして、京子を見る。



