わ、私も挨拶しなくちゃ…!!
口を開こうとしたら、明日葉はぴたりと動きを止めて。
顔を私に向けた。その表情はさっきとは変わって、深刻そうな表情。
明日葉は数秒私と目を合わせて、「アキはライバルだった…」と小さな声で言った。
“ライバル”
その言葉で思い出したのは、春休みに明日葉の家のプールで遊んだ時のこと。
あの日の帰りに私は明日葉から、アキくんが『夜瀬詩優さんに惚れた』と言っていたことを聞いた。
だとしたら…恋の、ライバルかもしれない。
学校が終わってもう安心できると思ったのに……
ここでも詩優を守らなくちゃ!!!!
「は、初めまして!!!妃芽乃 花莉です!!!詩優の彼女です!!よろしくお願いします!!!」
気づいてもらえるように右手を大きく上にあげて、強くアピール。
“詩優の彼女”というのも強めに言ったつもり。
こ、これでどうだ…っ!!
いくら明日葉の弟とはいえ負けるわけにはいかない!!



